
血液のがんと聞くと、多くの方が「白血病」や「悪性リンパ腫」を思い浮かべるのではないでしょうか。
どちらも血液細胞に関わる病気ですが、発症の仕組みや進行の仕方、治療法には大きな違いがあります。
私は長年、がん免疫療法の臨床と研究に携わってきましたが、患者さんやご家族から「悪性リンパ腫と白血病はどう違うのですか?」という質問を数多くいただいてきました。
本記事では、血液がんの代表である「悪性リンパ腫」と「白血病」について、それぞれの特徴や違いを医学的根拠に基づいて詳しく解説します。
悪性リンパ腫は、リンパ組織(リンパ節や脾臓、骨髄など)にできる血液のがんです。
リンパ球(白血球の一種)ががん化し、異常に増殖することで発症します。
悪性リンパ腫には大きく分けて「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つのタイプがあります。
日本では非ホジキンリンパ腫が圧倒的に多く、悪性リンパ腫の約9割を占めています。
ホジキンリンパ腫は、特徴的な異常細胞(Reed-Sternberg細胞)が認められるタイプで、欧米では若年層に多く見られますが、日本では比較的少ない傾向にあります。早期発見・治療により高い治癒率を誇ります。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキン型以外のすべてのリンパ腫を含む総称で、約60種類以上のサブタイプがあり、多様性が非常に高いのが特徴です。日本人に多く、特にB細胞性リンパ腫が主流となっています。

日本では、10万人あたり約30人が新しく悪性リンパ腫と診断されています。
患者数は白血病より多く、がん全体でみると8番目に多いがんとなっています。
年齢では、60歳ごろから増加し、70歳代でピークを迎える傾向があります。

白血病は、骨髄で作られる白血球ががん化して異常増殖する血液のがんです。
白血球が増えすぎることで正常な赤血球や血小板が作れなくなり、貧血や出血傾向、感染症にかかりやすくなります。
白血病には、急性(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病など)と慢性(慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病など)のタイプがあり、それぞれ進行速度や治療法が異なります。
急性白血病は、成熟していない若い白血球が増加するもので、急激に発症し顕著な貧血や白血球増加、血小板減少を示すことから迅速な治療が必要となります。
慢性白血病は、すべての分化段階の細胞がまんべんなく増殖するタイプで、症状のないことも多く健康診断時で偶然に見つかることが多いようです。しかし、最終的には急激に悪化(急性転化)するため、この急性転化を遅らせるような長期にわたる適切な治療が必要になります。
日本では、1年間に人口10万人あたり、男性で11.6人、女性で8.0人の割合で白血病と診断されています。
小児およびAYA世代(思春期・若年成人)に多く見られるがんとして有名ですが、実際には高齢者に多く発症し、60歳を超えると急増します。

悪性リンパ腫と白血病は、どちらも血液のがんですが、発症部位や症状、治療法に大きな違いがあります。
ここでは、両者の違いを整理してご説明します。
悪性リンパ腫は、主にリンパ節やリンパ組織で発症し、がん化したリンパ球が体中をめぐる中でリンパ節などの組織にかたまり(腫瘤)をつくります。
一方、白血病は、主として骨髄内で血液細胞の前駆細胞が制御不能に増殖し、未熟な白血球系細胞が血液中に放出され続けることで起こります。
悪性リンパ腫のほとんどではがん化したリンパ球がリンパ節やその他の臓器などで増加し、腫瘤をつくるという違いがあります。
悪性リンパ腫の初期症状としては、首やわきの下、鼠径部などのリンパ節の腫れ(無痛)が最も多くみられます。
長引く微熱、夜間の寝汗(盗汗)、原因不明の体重減少、倦怠感や食欲不振などの症状も特徴的です。
白血病では、貧血によるめまい・息切れ、白血球減少による感染症の頻発、血小板減少による出血しやすさ(鼻血、歯ぐき出血など)、発熱、骨の痛み(特に急性白血病)などの症状があらわれます。
急性白血病では症状が急激に現れるため、速やかな診断と治療が必要です。
血液検査で注目されるのが白血球の数値です。
白血病では白血球が10万/μL以上に増加することもありますが、逆に極端に減少することもあり、その場合感染症のリスクが非常に高まります。
一方、悪性リンパ腫では病型によって白血球の増減はさまざまで、必ずしも異常値が出るとは限りません。
だからこそ、血液検査だけでの診断は難しく、生検(リンパ節などの組織検査)や画像検査が不可欠です。

悪性リンパ腫と白血病では、治療法にも違いがあります。
それぞれの病態に応じた適切な治療が選択されます。
悪性リンパ腫の治療は、病型や病期によって異なりますが、主に抗がん剤による化学療法、放射線治療、抗体療法などが行われます。
近年では、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤など、新しい治療法も登場しています。
病型によっては、造血幹細胞移植が検討されることもあります。
白血病に対する治療は、種類によって異なりますが、おもに複数の抗がん剤を組み合わせる化学療法(多剤併用療法)や、造血幹細胞移植などが行われます。
慢性骨髄性白血病では、患者さんの95%以上でフィラデルフィア(Ph)染色体という異常な染色体が見つかるため、この異常を標的とした分子標的治療薬が非常に有効です。
急性白血病では、強力な化学療法が必要となり、寛解導入療法、地固め療法、維持療法といった段階的な治療が行われます。
どちらの治療においても、骨髄抑制による白血球減少、貧血、血小板減少などの副作用が起こります。
白血球が少なくなると感染症のリスクが高まり、発熱性好中球減少症という重篤な合併症が起こることもあります。
また、造血幹細胞移植を行う場合は、移植片対宿主病(GVHD)などの免疫に関連する合併症が起こることがあります。
結論から言えば、併発の可能性は稀ですがゼロではありません。
実際に、悪性リンパ腫の治療歴がある人が数年後に白血病を発症するケースも報告されています。
これは、治療に用いられる抗がん剤の影響で骨髄異形成症候群(MDS)や治療関連白血病が誘発される可能性があるためです。
特に長期生存者では、こうした二次がんのリスクに注意が必要です。
また、血液・リンパのがん(白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)であることや、それ以外のがんの場合は、がんが骨髄に浸潤することで、骨髄抑制が起こることがあります。

標準治療だけでは治癒が難しいとされるステージⅣの進行がん・再発がんに対して、免疫療法という選択肢があります。
私たちICVS東京クリニックでは、「延命ではなく、救命を目指して」という理念のもと、次世代免疫療法であるHITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)を提供しています。
HITV療法は、免疫システムの”司令塔”とも呼ばれる樹状細胞を活用し、体内でがんを攻撃する主力であるCTL(キラーT細胞)を効率的に誘導することで、がんの消失(治癒)を目標にする免疫細胞療法です。
CT画像で確認しながら腫瘍内へ直接注入(腫瘍内注入が難しい場合は腫瘍を栄養する主要血管内への投与)を行うことで、患者さまご自身の腫瘍が持つ複数のがん情報を、より正確に樹状細胞へ学習させることを目指します。
腫瘍に投与された樹状細胞は、がん情報を高精度で認識することで、CTLへの指示も精密化します。投与後、2週間前後からCTLが体内に誘導され、24時間休むことなくがん細胞へ攻撃を継続します。
当院は、2008年の設立以来、2,000名以上の治療支援実績を持ち、日本のみならず、台湾、中国、マレーシア、ロシア、オーストラリアなど世界各国から患者さまをお迎えしてきました。
院内には国際的なGMP基準に準じた細胞培養加工施設(CPC)を完備しており、採取した細胞はすべて院内で厳密に管理・培養されます。
また、再生医療等安全性確保法に則り、厚生労働省の許可を受けた特定細胞加工施設として運営しています。
なお、HITV療法は日本国内の医薬品医療機器等法において未承認であり、保険適用外の自由診療となります。
悪性リンパ腫と白血病は、どちらも血液のがんですが、発症部位や症状、治療法に大きな違いがあります。
悪性リンパ腫は主にリンパ節やリンパ組織で発症し、リンパ節の腫れが特徴的です。一方、白血病は骨髄内で白血球が異常増殖し、貧血や出血傾向、感染症のリスクが高まります。
がんと診断されたとき、「もう治らないのではないか」という不安を感じる方は多いでしょう。
しかし、医療は日々進歩しており、新しい治療法も次々と登場しています。
ご自身の病状や治療の選択肢について、担当医とよく相談し、納得のいく治療を選択することが大切です。
ICVS東京クリニックでは、一人ひとりの患者さまに合わせたオーダーメイドの治療計画を提案し、「治すことを諦めない」という姿勢を患者さまと共有しています。
今の治療に限界を感じている方、別の可能性を知ったうえで判断したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

埼玉医科大学卒業。
東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。
世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。
米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。
ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。
その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。