
「腫瘍が大きくなってきた」「もう手術もできないと言われた」——そのような言葉を告げられた患者さまやご家族は、どれほど不安な思いを抱えておられることでしょう。がんの腫瘍の大きさは、治療の選択肢に大きく関わります。しかしそれは、「もう打つ手がない」ということを意味するわけではありません。
この記事では、腫瘍の大きさが治療方針にどう影響するのか、そして標準治療が難しくなった場合にどのような選択肢があるのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。免疫細胞療法など、近年注目されているアプローチについても、科学的な根拠をふまえながら解説します。
がんと診断された瞬間から、多くの患者さまは「腫瘍はどのくらいの大きさなのか」「大きくなったらどうなるのか」という疑問と向き合い続けます。そして検査のたびに腫瘍径(腫瘍の直径)の数値を確認し、一喜一憂されているご家族も少なくありません。
「前回よりも腫瘍が大きくなっていた」と聞いたとき、多くの方が感じるのは「もう治らないのではないか」という恐怖です。しかしここで大切なのは、腫瘍が大きいこと=治療の選択肢がなくなること、ではないという事実です。医療は進歩しており、腫瘍の大きさや病期(ステージ)によっても、さまざまなアプローチが検討されています。
また、「抗がん剤を続けているのに腫瘍が縮まない」「放射線治療を勧められたが体力が心配」「手術は難しいと言われたが他に方法はないか」と悩まれる方も多くいらっしゃいます。そのような状況にある患者さまこそ、今回の記事をぜひ最後まで読んでいただければと思います。
医療の現場では、腫瘍の大きさ(腫瘍径)は治療方針を決める重要な指標のひとつです。特にCT検査やMRI検査で計測された腫瘍径は、がんのステージ分類にも使われており、「切除できるかどうか」「放射線治療の範囲はどうするか」「薬物療法の効果をどう評価するか」といった判断に直接影響します。
たとえば、固形がんの治療効果を評価するRECIST基準では、腫瘍径が20%以上縮小すれば「部分奏効(PR)」、30%以上縮小すれば「奏効」と判定されます(個人差があります)。このように、腫瘍の大きさは「治療がどれだけ効いているか」を測るものさしにもなっているのです。
「腫瘍が5cmを超えたら手術できない」「転移があると治療は緩和ケアだけ」——こうした情報を耳にして、絶望的な気持ちになった方もいるかもしれません。しかし実際には、腫瘍の大きさや転移の状況は、あくまで治療の方向性を決める「要素のひとつ」に過ぎません。
標準治療(手術・抗がん剤・放射線)だけがすべての選択肢ではなく、免疫療法をはじめとするさまざまなアプローチが、患者さまの状態に応じて検討されています。大切なのは、あきらめず、情報を集め、専門家に相談し続けることです。
がんの治療方針は、腫瘍の大きさだけでなく、発生部位・組織型・転移の有無・患者さまの全身状態など、多くの要素を総合的に判断して決められます。ここでは、腫瘍の大きさと治療の関係を3つのポイントに整理して解説します。
外科手術が選択肢に入るかどうかは、腫瘍の大きさと位置、そして周囲の臓器や血管への浸潤度合いによって判断されます。腫瘍が小さくても重要な血管に接していれば切除が難しい場合もあり、逆に腫瘍が大きくても部位によっては切除できることもあります。「大きさ=切除不可」とは一概に言えないため、専門医への相談が欠かせません。
薬物療法の効果は、治療前後の腫瘍径の変化で評価されます。一定期間の投与後に画像検査で腫瘍の大きさを測り、縮小・安定・増大のいずれかを確認します。効果が不十分な場合には、薬剤の変更や他の治療法との組み合わせが検討されます。近年では免疫チェックポイント阻害薬(PD-1阻害薬など)が一部のがん種で使われるようになっており、免疫の力でがんに対抗するアプローチへの関心が高まっています。
腫瘍が大きくなったり、複数の臓器に転移が及んでいる場合、局所治療(手術・放射線)だけでは対応が難しくなります。この段階では、全身に作用する薬物療法や免疫療法が重要な役割を担います。がんを全身レベルで抑えるためのアプローチとして、患者さま自身の免疫力を活用した免疫細胞療法も選択肢のひとつとして注目されています。
ステージⅣ(他臓器への遠隔転移あり)の進行がんでは、がんを「完全に取り除く」ことよりも、がんの進行を抑え、生活の質(QOL)を保ちながら長期間共存するという考え方が重視されることがあります。腫瘍が完全に消えなくても、一定の大きさで安定している状態(安定病変)を維持することも、治療の目標になりえます。
このような観点から、免疫細胞療法は「がんをゼロにする」というよりも「免疫の力でがんの勢いを抑え、患者さまの体が持つ自然な防御機能を高める」ことを目指すアプローチとして位置づけられています(効果には個人差があります)。

以下は一般的な目安であり、実際の治療方針は担当医との相談のもとで決定されます。あくまで参考情報としてご覧ください(個人差・がん種・部位・患者さまの状態により大きく異なります)。
| 腫瘍の状況(目安) | 一般的に検討される治療アプローチ |
|---|---|
| 小さい(2cm以下・早期) | 外科切除・内視鏡治療・局所放射線治療など |
| 中程度(2〜5cm・局所進行) | 外科切除+薬物療法・放射線との組み合わせなど |
| 大きい(5cm超・切除困難) | 薬物療法・免疫療法・緩和的放射線・免疫細胞療法との併用など |
| 多発転移・ステージⅣ | 全身薬物療法・免疫チェックポイント阻害薬・免疫細胞療法・緩和ケア併用など |
免疫細胞療法とは、患者さまご自身の免疫細胞を体外で培養・活性化させ、再び体内に戻すことで、免疫の力でがんに対抗することを目指す治療法です。現在、さまざまな種類の免疫細胞療法が研究・実施されており、その中でも樹状細胞(デンドリティックセル)を活用した方法は、がん免疫療法の分野で注目を集めています。
樹状細胞は、免疫システムの中でも特に重要な役割を担う細胞で、「異物(がん細胞)を認識する」情報をT細胞(攻撃部隊)に伝える役割を持っています。がんに罹患した状態では、この樹状細胞の機能が低下していることが多く、がんが免疫の目をかいくぐって増殖してしまいます。樹状細胞を体外で活性化させて戻すことで、この仕組みを立て直すことが期待されます(効果には個人差があります)。
免疫細胞療法は、以下のような状況にある患者さまに検討されることが多い治療です。
こんな患者さまに検討されやすい
注意が必要な場合・留意点
⚠ ご注意ください
免疫細胞療法は自由診療であり、治療効果・適応は患者さまの状態により大きく異なります。「これさえすれば治る」という治療法は存在せず、どの治療においても、担当医との十分な相談のもと、納得した上で受けることが大切です。標準治療(手術・抗がん剤・放射線)を突然中止して免疫療法のみに切り替えることは、医学的観点から推奨されていません。現在の担当医と連携しながら検討することをお勧めします。
HITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)は、樹状細胞をCTガイド下で腫瘍の内部に直接投与するという独自の手法をとる免疫細胞療法です。従来の皮下投与(皮膚の下に注射する方法)ではなく、CTスキャンで腫瘍の位置を確認しながら、針を腫瘍内部に正確に刺して樹状細胞を届けるという技術を用いています。
腫瘍の内部にがんの情報が豊富に存在することに着目し、そこに直接樹状細胞を送り込むことで、免疫応答をより効果的に引き出すことを目指した発想に基づいています(効果には個人差があります)。
一般的に、HITV療法では患者さまから採取した血液中の単球から樹状細胞を培養・活性化し、それを腫瘍内部に投与するという流れをとります。日帰りの外来通院で対応しており、入院を要しないため、仕事や日常生活との両立を考えながら治療を進やすい体制です。詳しい治療の流れや適応については、診察・相談を通じて個別にご説明しています。
HITV療法は、手術・抗がん剤・放射線といった標準治療と並行して受けることができます。「どちらか一方を選ぶ」ものではなく、標準治療の効果を免疫の力でサポートする形で活用するという考え方が基本です。標準治療と免疫細胞療法を組み合わせることで、より包括的ながん治療を目指すことができます(個人差があります)。
また、現在受けている治療の状況・種類・タイミングによっても、HITV療法との組み合わせ方は変わります。治療計画は患者さまお一人おひとりの状態に合わせてオーダーメイドで策定されます。

HITV療法は自由診療(全額自己負担)です。以下の料金を参考にご確認ください。
| 診療項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 医療相談(電話・オンライン・対面) | 11,000円 |
| 初診料 | 33,000円 |
| HITV療法治療費(総額) | 要相談(治療計画による) |
| CTガイド下投与オプション | 要相談 |
治療費の詳細は患者さまの状態・治療計画によって異なります。まずはご相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
診療時間:午前 9:00〜12:00 / 午後 13:00〜17:00(土・日・祝日休診)
所在地:東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ内 新紀尾井町ビル4F
東京メトロ丸ノ内線・銀座線「赤坂見附駅」から徒歩4分、有楽町線「永田町駅」から徒歩5分、JR「四ツ谷駅」から徒歩8分とアクセスしやすい立地です。東京都内はもちろん、地方・海外からの患者さまも多くいらっしゃいます。
📝 この記事のまとめ
理事長:蓮見賢一郎 先生より
「治す」ことを決してあきらめず、これまでの治療の限界を超えて、がんから解放されるために——ICVS東京クリニックは、その思いを胸に開院以来歩んでまいりました。腫瘍の大きさや病期に関わらず、「もう方法がない」と感じている患者さまやご家族こそ、一度ご相談ください。治療が始まった瞬間から、私たちは患者さまのパートナーです。どんな困難な状況であっても、最良のガイドとなるべく、誠心誠意お力になることをお約束します。まずはお話を聞かせてください。