
抗がん剤を使い始めてから、体にあざができやすくなった、鼻血がなかなか止まらない——そんな変化に不安を感じている患者さまやご家族は少なくありません。
結論からお伝えすると、抗がん剤治療中のあざ・鼻血の多くは、薬が骨髄に作用することで血小板が一時的に減少するために起こります。多くのケースでは治療スケジュールに合わせて回復しますが、症状の程度や続く期間には個人差があり、場合によっては迅速な医療対応が必要なこともあります。
この記事では、なぜ抗がん剤がこうした出血症状を引き起こすのか、日常生活でどのように気をつければよいか、そしてどのような症状が出たら医師に相談すべきかを、わかりやすく整理してお伝えします。
抗がん剤治療を受けている方から「最近、ちょっとぶつかっただけで大きなあざができる」「以前より鼻血が増えた気がして怖い」というお声をよく耳にします。
こうした変化は、がんという病気と向き合いながら日々生活している患者さまにとって、大きな精神的負担になります。「これは治療の影響なのか、それとも病気が悪化しているのか」と区別がつかず、心配される方も多いことでしょう。
まず大切なことをお伝えします。抗がん剤治療中にあざや鼻血が増えることは、残念ながら珍しいことではありません。これは、抗がん剤が持つ骨髄抑制という作用と深く関係しています。
骨髄は血液を作り出す工場のような場所です。抗がん剤はがん細胞を攻撃する一方で、骨髄にいる正常な細胞にも影響を与えることがあります。その結果として、止血を担う「血小板」という細胞が減少し、出血しやすい・止まりにくいという状態が生まれます。
あざ(皮下出血)や鼻血は、この血小板減少を体が外側で知らせているサインとも言えます。「治療が効いているから起きる変化」という側面もありますが、程度が強い場合は医師への相談が必要です。
血小板は、血管が傷ついたときに真っ先に集まり、傷口をふさぐ「止血のファーストレスポンダー」です。健康な成人の血小板数は通常、血液1μL(マイクロリットル)あたり15万〜40万個程度とされています。この数値が低下すると、わずかな刺激でも皮膚の下に血液が漏れ出てあざとなったり、粘膜から出血して鼻血が起きたりしやすくなります。
血小板の寿命は約7〜10日と短く、骨髄で常に新しく作られ続けています。抗がん剤がその産生を抑えると、投与から1〜2週間後をピークに血小板数が低下しやすくなることが知られています(ただし、使用する薬剤や個人差によって時期は異なります)。
血小板減少が進むと、あざや鼻血だけでなく、歯茎からの出血、尿や便に血が混じる、女性では月経量の増加といった症状が現れることもあります。また、目の白目部分に赤い出血が見られることもあります。これらはいずれも医師への報告が必要なサインです。
抗がん剤は「細胞分裂が活発な細胞を攻撃する」という性質を持っています。がん細胞は分裂が速いために標的になりますが、骨髄の造血幹細胞もまた分裂が盛んなため、同時に影響を受けてしまいます。この状態を「骨髄抑制」と呼び、白血球・赤血球・血小板のすべてが減少する可能性があります。
通常であれば、毛細血管が少し傷ついても血小板がすぐに集まり数分で止血します。しかし血小板数が5万/μL以下になると出血傾向が現れやすく、2万/μL以下になると自然出血のリスクが高まるとされています(個人差があります)。抗がん剤投与後、こうした数値の変動が定期的な血液検査によってモニタリングされます。
骨髄抑制の強さは、使用する抗がん剤の種類・投与量・投与スケジュール、そして患者さまの体の状態によって大きく異なります。プラチナ製剤、タキサン系薬剤など多くの化学療法薬が骨髄抑制を引き起こすことが知られていますが、程度や時期は個人差があります。担当医から事前に「いつ頃症状が出やすいか」を確認しておくことが大切です。
患者さまの中には「あざが増えたのは体力が落ちたせいだ」「栄養が足りていないのでは」と心配される方もいます。しかし抗がん剤によるあざは、体の衰弱ではなく血小板数の変動という明確なメカニズムによるものです。栄養補給や休養はもちろん大切ですが、あざや鼻血の原因がそれだけではない点を知っておいていただきたいと思います。
逆に「少しのあざなら大丈夫」と自己判断して放置するのも危険です。定期的な血液検査の結果を担当医と共有し、適切に管理していくことが重要です。
従来の化学療法(抗がん剤)に加えて、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬でも、血小板に影響を与えるものがあります。作用の仕組みは異なりますが、いずれの治療でも血液検査によるモニタリングは欠かせません。使用している薬剤の種類を担当医に確認し、どのような症状に注意すべきかを事前に教えてもらうと安心です。

血小板が減少している期間は、日常生活の中でちょっとした工夫が大きな差を生みます。「治療中だから仕方ない」と諦めるのではなく、できることから取り組んでいきましょう。
✅ 取り組みやすい対策
⚠️ 血小板減少期に避けたいこと
鼻血が出た場合は、以下の手順で対応しましょう。
「首の後ろをたたく」「ティッシュを鼻に詰め込んで強く押し込む」などの民間療法は、血小板が少ない状態では逆効果になる場合があります。担当医から具体的な指示を事前に受けておくことをおすすめします。
⚠️ 注意:市販薬の使用には要注意
アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、血小板の機能をさらに低下させる可能性があります。治療中に市販の痛み止めや風邪薬を使いたい場合は、必ず担当医または薬剤師に確認してください。「市販薬だから安全」とは限りません。
あざや鼻血のすべてが緊急事態というわけではありませんが、一部の症状は迅速な対応が必要なサインです。「様子を見ればいい」と自己判断せず、次のような症状が現れた場合はすみやかに担当医または救急に連絡してください。
⚠️ 血小板数が極端に低い場合の対応について
定期的な血液検査で血小板数が1万/μL未満など著しく低い数値になった場合、担当医の判断で抗がん剤の休薬・減量、または血小板輸血が検討されることがあります。血液検査の結果を受け取ったら、その数値の意味を担当医に確認する習慣をつけましょう。数値だけでなく、全体的な体調の変化も合わせて報告することが大切です(個人差があります)。
担当医は、血小板数の推移を見ながら抗がん剤の投与量やスケジュールを調整します。「副作用が出たから治療を止めなければいけない」と患者さまが一人で判断する必要はありません。症状や検査値を医師と共有しながら、治療を安全に継続するための判断を一緒に行うことが重要です。
また、栄養状態の維持も間接的に造血機能のサポートにつながります。バランスのとれた食事と、担当医に許可された範囲での適度な休息を心がけてみてください。ただし、「〇〇を食べれば血小板が増える」といった根拠のない情報には注意が必要です。サプリメントや健康食品も、担当医に相談してから使用するようにしましょう。
抗がん剤や放射線などの標準治療は、がん医療の重要な柱です。一方で、ステージⅣの進行がんや再発がんでは、標準治療だけでは十分な効果が得られないケースもあります。そのような状況で、治療の選択肢を広げる一つのアプローチとして、免疫細胞療法が注目されています。
免疫細胞療法は、患者さまご自身の免疫の力を引き出してがんと向き合う治療法です。自由診療の領域で、標準治療と組み合わせて取り入れる方も増えています。ただし治療の内容・効果・費用は施設や方法によって異なり、効果には個人差があります。信頼できる専門医に相談のうえ、ご自身とご家族で十分に検討することが大切です。
東京都千代田区に位置するICVS東京クリニックは、2008年の開院以来、独自開発のHITV療法(樹状細胞腫瘍内投与療法)に特化した専門クリニックとして、がんで苦しむ患者さまとご家族に向き合い続けてきました。

「今の治療の限界を感じている」「別の選択肢も知りたい」——そのようなお気持ちを、まず私たちにお聞かせください。東京都千代田区のICVS東京クリニックでは、患者さまとご家族のご不安に丁寧にお答えします。
「治す」ことを決してあきらめず、これまでの治療の限界を超えて、がんから解放されるために——この思いを胸に、私たちは開院以来ずっと患者さまに向き合ってきました。
抗がん剤によるあざや鼻血は、治療に伴う辛さの一つです。こうした症状を抱えながらも前向きに治療を続けておられる患者さまやご家族の力となり、支えになるために尽くしたいと思っています。
ICVS東京クリニックでは、標準治療と組み合わせてHITV療法をご検討いただける環境を整えています。どんな状況であっても、治療が始まった瞬間から医師は患者さまのパートナーです。まずはお気軽にご相談ください。