
甲状腺がんと診断され、骨転移による痛みに悩んでいる——そのつらさは、身体だけでなく心にも深く影響します。「この痛みはなぜ起きているのか」「これ以上悪くなるのか」「標準治療以外に選択肢はないのか」と、不安を抱えながら毎日を過ごされている患者さまやご家族は少なくありません。
結論からお伝えすると、甲状腺がんの骨転移による痛みには、骨が破壊される過程で生じるメカニズムが関係しており、原因を理解することが適切な対処への第一歩となります。痛みの管理には鎮痛薬・放射線治療・骨修飾薬などの選択肢があり、さらに免疫細胞療法を含む複合的なアプローチも検討できる場合があります(いずれも個人差があります)。
この記事では、甲状腺がんの骨転移で痛みが生じる仕組みから、現在用いられている治療の選択肢、そして標準治療と並行して検討できる選択肢まで、わかりやすく整理してお伝えします。
甲状腺がんは、他の多くのがん種と比較して比較的進行が緩やかとされることが多いですが、ステージが進むと肺・骨・脳などへの遠隔転移が生じることがあります。なかでも骨転移は甲状腺がん遠隔転移のなかで頻度が高い部位の一つとされており、脊椎(背骨)・骨盤・肋骨・大腿骨などに生じやすいことが知られています。
痛みの出方は転移の部位によって異なります。脊椎への転移では背部痛・腰痛として現れることが多く、「慢性的な腰の重さ」として見過ごされるケースもあります。骨盤や大腿骨への転移では股関節や太ももの痛み、歩行困難につながることがあります。
骨転移による痛みには大きく2種類あります。安静にしていても続く「安静時痛」と、動いたときに増強する「体動時痛」です。夜間に痛みが強くなるケースも多く、睡眠の質が低下することで日常生活全体の質(QOL)に影響が及びます。
また、骨転移が進行すると骨が脆くなり、通常では骨折しないような軽微な力で骨折(病的骨折)が起こるリスクが高まります。脊椎への転移では脊髄が圧迫されると、下肢の麻痺や排尿・排便障害が起きることもあるため、早期の評価と対応が重要とされています。
骨転移の痛みは「がんだから仕方ない」とがまんされる患者さまが少なくありません。しかし、痛みを放置することは身体的・精神的な負担を増大させ、治療への意欲にも影響します。現在の医療では、痛みのコントロールを目的とした多様なアプローチが存在します。まずは担当医に痛みの程度と性質を正確に伝えることが、適切なケアへの第一歩です。
骨は常に破骨細胞(骨を壊す細胞)と骨芽細胞(骨を作る細胞)のバランスで維持されています。がん細胞が骨に定着すると、破骨細胞の活性を異常に高めるサイトカインなどを分泌し、骨の破壊が進みます。この破壊の過程で骨膜(骨を包む膜)が刺激されたり、骨内の神経が引き伸ばされたりすることで、強い痛みが発生します。
がん細胞や破壊された骨組織からは、プロスタグランジンをはじめとする炎症性物質が放出されます。これらが周囲の神経を過敏化させ、通常ならあまり痛みを感じない刺激でも強い痛みを感じる「痛覚過敏」の状態を引き起こすことがあります。これが、骨転移の痛みが慢性化しやすい理由の一つです。
骨転移には、骨が溶けていく「溶骨性転移」と、骨が異常に増殖する「造骨性転移」があります。甲状腺がんは溶骨性転移をとることが多いとされ、骨の強度が低下しやすく病的骨折のリスクが相対的に高いと考えられています。このため、骨修飾薬による骨強度の維持が治療計画に含まれることがあります(個人差があります)。

がん性疼痛の管理では、WHO(世界保健機関)が提唱する「鎮痛の3段階ラダー」の考え方が広く用いられています。非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsなど)から始まり、必要に応じてオピオイド系鎮痛薬(モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルなど)を段階的に使用します。適切な用量管理により、多くの患者さまで痛みのコントロールが期待できるとされています(個人差があります)。
また、骨転移に特有の治療として骨修飾薬(ビスホスホネート製剤・デノスマブなど)があります。これらは破骨細胞の活動を抑制し、骨の破壊を遅らせることで骨関連事象(病的骨折・脊髄圧迫など)のリスク軽減が期待されます。
骨転移による痛みに対して、放射線治療(緩和照射)は有効なアプローチの一つです。骨転移病巣に放射線を照射することでがん細胞を障害し、痛みの軽減効果が期待できるとされています(個人差があります)。一般的に数回〜10回程度の照射が行われることが多く、外来通院で対応できるケースもあります。
甲状腺がんに対しては放射性ヨウ素(¹³¹I)内用療法が用いられることがありますが、分化度が低下した甲状腺がんやヨウ素抵抗性の病変では効果が限定的なケースもあり、担当医との十分な相談が必要です。
病的骨折が生じた場合や脊椎転移で神経圧迫が起きている場合には、手術(固定術・椎体形成術など)が検討されることがあります。また、骨転移巣にセメントを注入する「経皮的椎体形成術(PVP)」や「骨形成術」によって痛みの緩和と骨の安定化が期待できるケースもあります。いずれも適応は個々の状態によって異なり、専門医の判断が必要です。
⚠ よくある誤解:「骨転移は治療できない」は正しくない
「骨転移が見つかったらもう治療の手がない」と思い込まれる患者さまがいらっしゃいますが、これは正確ではありません。現在の医療では、骨転移の痛みを管理しながらQOL(生活の質)を維持するための多様な手段があります。さらに、免疫療法をはじめとする全身治療を組み合わせることで、転移病巣そのものへのアプローチを検討できるケースもあります(個人差があります)。諦める前に、複数の専門家に相談することをおすすめします。
私たちの身体にはもともと、がん細胞を攻撃する免疫の仕組みが備わっています。しかし進行がんでは、がん細胞が免疫から逃れる機構を獲得し、免疫系が十分に機能しなくなっていることが多いとされています。免疫細胞療法は、この免疫系を活性化・強化することでがん細胞への攻撃力を高めることを目的とした治療の総称です。
抗がん剤や放射線治療で効果が限定的となったケースでも、免疫療法を組み合わせることで新たな選択肢が生まれる可能性があるとして、近年注目が高まっています(いずれも個人差があります)。
免疫細胞療法の中でも樹状細胞を用いたアプローチは、免疫の「指揮官」ともいえる細胞を活用する方法です。樹状細胞はがん細胞の特徴(抗原)をT細胞に提示し、T細胞ががん細胞を攻撃するよう誘導する役割を担います。
患者さまご自身の血液から単球(免疫細胞の一種)を採取し、培養・加工して樹状細胞を作製した後、体内に戻す——というのが基本的な流れです。自己の細胞を使うため、拒絶反応のリスクが低い点が特徴の一つとして挙げられます。
免疫細胞療法は、手術・抗がん剤・放射線治療などの標準治療と並行して用いることができるケースが多いとされています(個人差・適応があります)。標準治療の効果をサポートする形での活用、あるいは標準治療が難しくなった後の選択肢として検討されることがあります。担当医と十分に相談のうえ、自身の状態に合った計画を立てることが重要です。
免疫細胞療法を検討するメリット
免疫細胞療法を検討するうえで知っておくこと
東京都千代田区に拠点を置くICVS東京クリニックでは、2008年の開院以来、独自に開発したHITV療法(樹状細胞腫瘍内直接投与免疫細胞療法)に特化した診療を行っています。世界2,000名以上の治療実績を積み重ねてきた専門クリニックです。

📝 この記事のまとめ
ICVS東京クリニックでは、患者さまやご家族の不安を丁寧にお聞きし、HITV療法を含む治療の選択肢についてわかりやすくご説明します。東京都千代田区・赤坂見附駅徒歩4分。まずはお気軽にご相談ください。
理事長:蓮見賢一郎 先生より
「治す」ことを決してあきらめず、これまでの治療の限界を超えて、がんから解放されるために——。骨転移による痛みを抱えながら毎日を過ごされている患者さまのつらさを、私たちは真剣に受け止めています。ICVS東京クリニックでは開院以来、免疫療法によるがんの縮小や消失を目指してまいりました。治療が始まった瞬間から、医師は患者さまのパートナーです。どんな困難な状況にあっても、最良のガイドとなるべく尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。