
「がんの治療がひと段落した。でも、また新しいがんができてしまったら…」そんな不安を抱えながら日々を過ごされている患者さまやご家族は、決して少なくありません。
実は、がん治療後に別のがんが発生する「二次がん」は、決して珍しいことではありません。国内外の研究データによると、がんサバイバーは一般の方と比べて新たながんを発症するリスクがやや高い傾向があることが報告されています。ただし、そのリスクは生活習慣の見直しや定期的な経過観察、そして免疫機能へのアプローチによって、ある程度コントロールできる可能性があると考えられています(個人差があります)。
この記事では、二次がんとは何か・なぜ起こるのか・どのような予防策があるのかを、できるだけわかりやすく解説します。
がんの治療を終えた後に新たながんが見つかった場合、それが「再発」なのか「二次がん(二次原発がん)」なのかは、医学的にまったく異なる概念です。再発とは、治療した元のがんが残存していたり、潜伏していた細胞が再び増殖したりすることを指します。
一方、二次がんとは、最初のがんとはまったく別の部位・別の種類のがんが新たに発生することを意味します。たとえば、乳がんの治療後に大腸がんが見つかった場合、これは再発ではなく二次がんです。患者さまの中には「また同じがんが戻ってきた」と誤解されるケースもありますが、原因も治療方針も異なる場合があるため、正しく区別することがとても重要です。
米国国立がん研究所(NCI)や国内の研究報告によると、がんの治療歴がある方(がんサバイバー)は、一般の方と比較して新たながんを発症するリスクがやや高い傾向があることが示されています。ただし、これはあくまで統計的な傾向であり、すべての方に必ず二次がんが発生するということではありません。
大切なのは、リスクを正しく知ったうえで、日常生活の中でできることに取り組んでいくことです。過度に恐れるのではなく、情報を持って主体的に向き合う姿勢が、治療後の生活の質を高めることにつながります。
がんの治療が終わると、「もう大丈夫」と経過観察を怠ってしまう方も少なくありません。しかし、がん治療後の身体は、治療の影響で免疫機能が変化していたり、がんが発生しやすい体内環境が続いていたりすることがあります。定期的な検診と、免疫機能を支える生活習慣の継続が、治療後においても非常に重要です。
なぜ、がん治療後に新たながんが発生しやすくなることがあるのでしょうか。主な要因を整理しました。
抗がん剤(化学療法)や放射線治療は、がん細胞を攻撃するとともに、正常な細胞のDNAにも影響を与えることがあります。この影響が蓄積されると、長期的に正常細胞ががん化するリスクが生じることが医学的に知られています。治療の種類・投与量・照射部位によって、どの臓器に影響が出やすいかが異なります(個人差があります)。
私たちの身体には、毎日生まれる異常細胞(がん化した細胞)を早期に見つけて排除する免疫システムが備わっています。しかし、がん治療を経た後の身体では、この免疫システムが低下していることがあり、新たながん細胞を見逃しやすい状態になっているケースがあります。免疫力の維持・回復が、二次がん予防において重要な理由のひとつがここにあります。
最初のがんの発症に関わった生活習慣上のリスク要因(喫煙・飲酒・肥満・食生活など)が改善されていない場合、それらの要因が二次がんのリスクにも影響する可能性があります。また、遺伝的な体質ががん全般のリスクを高めている場合もあります。治療後の生活習慣の見直しが、予防の観点からも大切です。
がん治療後の経過観察は、再発の早期発見だけでなく、二次がんの早期発見にも欠かせません。主治医の指示に従い、定期的な画像検査・血液検査・内視鏡検査などを受け続けることが基本です。自覚症状がない段階で発見できるほど、治療の選択肢が広がる可能性が高まります。
「何も症状がないから大丈夫」という判断は禁物です。がんは初期段階では症状が出にくいことが多く、定期検診こそが早期発見の鍵を握っています。

日常生活の中で取り組める予防策として、以下のような習慣が推奨されています(個人の体調・治療歴によって適切な内容は異なります。主治医にご相談ください)。
慢性的なストレスや睡眠不足は、免疫機能に悪影響を与えることがあります。治療後の身体的・精神的な回復を支えるためにも、十分な睡眠と心の余裕を保つことが大切です。がんの治療後に抑うつや不安感を抱える方は少なくありませんが、一人で抱え込まず、医療者や支援機関へ相談することも有効です。
⚠ 注意
インターネット上には、二次がん予防に関して科学的根拠が不十分な情報や、特定のサプリメント・健康食品が「がんを予防する」と謳うものが数多く存在します。治療後の体は特に繊細であり、主治医の指示なく市販のサプリメントや民間療法を取り入れることは、治療効果に影響を与える可能性があります。新たな取り組みを始める際は、必ず担当医にご相談ください。
私たちの体の中では、毎日数千個ともいわれる異常細胞が生まれているといわれています。健康な状態であれば、免疫細胞(特にNK細胞やT細胞など)がこれらを認識して排除する仕組みが働いています。がんが発症するのは、この免疫監視機構が何らかの理由でうまく機能しなくなったときと考えられています。
免疫機能を適切に維持・回復させることが、二次がんのリスクを抑えるうえでも意味を持つと考えられており、近年の免疫腫瘍学の分野でも研究が進んでいます。
がん免疫療法とは、患者さま自身の免疫システムを活性化・強化することによって、がん細胞を攻撃・排除することを目指す治療法の総称です。免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体など)や、細胞免疫療法(樹状細胞療法・NK細胞療法など)がその代表例として知られています。
これらの治療法は、従来の抗がん剤や放射線治療とは作用機序が異なり、標準治療と組み合わせて用いられる場合もあります。ただし、免疫療法にも副作用(免疫関連有害事象など)が生じることがあり、専門医による慎重な管理が必要です(個人差があります)。
樹状細胞(Dendritic Cell)は、免疫システムの中で「指令塔」とも呼ばれる細胞です。体内でがん細胞の情報を他の免疫細胞に伝え、がんへの攻撃を指揮する役割を担っています。樹状細胞療法は、患者さまご自身の血液から樹状細胞を採取・培養し、がんの特徴(抗原情報)を覚えさせた後に体内に戻すことで、免疫システムにがんを攻撃するよう促す治療法です。
この療法は、患者さまご自身の免疫細胞を用いるため、体への負担が比較的小さいとされていますが、効果の現れ方には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるものではありません。専門医との十分な相談のもとで治療方針を決定することが重要です。
✅ 免疫療法のメリット(一般的特徴)
⚠ 免疫療法の注意点(一般的特徴)
東京都千代田区に拠点を置くICVS東京クリニックでは、2008年の開院以来、がん免疫細胞療法の専門クリニックとして、多くの患者さまとご家族に寄り添ってまいりました。

理事長 蓮見賢一郎 先生より
「治す」ことを決してあきらめず、これまでの治療の限界を超えて、がんから解放されるために。がんで苦しんでおられる患者さまやご家族の力となり、支えになるために尽くします。ICVS東京クリニックでは開院以来、免疫療法によるがんの縮小や消失を目指してまいりました。治療が始まった瞬間から、医師は患者さまのパートナーです。どんな困難な状況に陥っても、最良のガイドとなるべく尽力いたします。まずは患者さまご自身やご家族の方に、お受けになる治療について丁寧にご説明し、ご理解とご納得をいただくことを大切にしています。