
「腹膜播種と言われた。もう治療の手段はないのだろうか」――そのような不安を抱えて情報を探しておられる患者さまやご家族の方は、少なくありません。大腸がんの腹膜播種は、標準治療だけでは対応が難しいケースもあり、次の一手を模索することは決して諦めではなく、積極的な選択です。
この記事では、大腸がんの腹膜播種とはどのような状態なのか、なぜ治療が難しいのかを整理したうえで、免疫細胞療法の一種であるHITV療法という選択肢について、その仕組みや対象・通院の流れをわかりやすくお伝えします。標準治療との併用も考慮に入れながら、選択肢の幅を広げる参考にしてください。
大腸がんが進行すると、がん細胞が腹腔(おなかの中の空間)を覆う腹膜へと広がることがあります。これを腹膜播種(ふくまくはしゅ)と呼びます。がん細胞が腹腔内に散らばるように広がるため、「播種(種をまく)」という言葉が使われます。
腹膜播種が起きると、腹水がたまる、腸の動きが悪くなる、お腹の張りや痛みが出るといった症状が現れることがあります。また、病変が広範囲に散らばるため、手術で取りきることが難しく、通常の抗がん剤も腹膜への到達が限られやすいという特性があります。
主治医から「これ以上できることがない」「緩和ケアを考えましょう」と告げられた患者さまのなかには、その言葉を「あきらめてください」と受け取ってしまう方もおられます。しかし、標準治療に限界があるという意味と、すべての治療の可能性が尽きたという意味は、必ずしも同じではありません。
標準治療の枠を超えた選択肢として、がん免疫細胞療法という分野があります。標準治療が奏効しない状況でも、免疫の力を活用したアプローチを検討できる可能性があります。
免疫細胞療法に対して「すべてのがんに効く万能の治療法」というイメージを持たれる方がいますが、これは正確ではありません。免疫療法の効果には個人差があり、がんの種類・進行度・患者さまの体の状態によって異なります。免疫細胞療法を選ぶ際には、医師との十分な情報共有と治療計画の確認が欠かせません。
全身に投与する抗がん剤は、血流を通じてがん細胞に届きます。しかし腹膜は独自の血液関門をもつ構造のため、血中の薬剤が腹膜病変へ十分に到達しにくいという特性があります。このため、全身化学療法だけでは腹膜播種への直接的な効果が得にくいケースがあります。
腹膜播種は、腹腔内の広い範囲にがん細胞が散在します。外科手術では、取り除ける病変の範囲に限界があるため、すべての播種巣を切除するのが難しい状況になりやすいです。局所的な治療だけでは対応しきれないため、全身性・免疫学的なアプローチの重要性が高まります。
がん細胞は、体の免疫システムから自分自身を隠すための機能を備えていることがあります。本来ならリンパ球などの免疫細胞ががんを攻撃するはずが、がん細胞が免疫の監視を回避してしまうことで、体の自然な防御機能が働きにくくなっています。この「免疫逃避」を崩すことが、免疫療法の基本的な考え方の一つです。
がんに対する免疫細胞療法は、患者さまご自身の免疫細胞を活用して、がんへの攻撃力を引き出すことを目的としています。特に、樹状細胞(じゅじょうさいぼう)と呼ばれる免疫細胞は、他の免疫細胞にがんの情報を伝える「指令塔」のような役割を果たします。この樹状細胞を活用したアプローチが、腹膜播種に対する新たな選択肢として注目を集めています。
HITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)は、患者さまご自身の血液から採取した単球(白血球の一種)を培養・加工して樹状細胞をつくり、それをがんの腫瘍内へCTガイド下で直接投与する免疫細胞療法です。
樹状細胞を腫瘍の内部に直接届けることで、がん細胞の情報を樹状細胞に学習させ、免疫細胞全体にがんへの攻撃指令を出させることを狙います。全身に広がりうる免疫応答を引き出すことを目指しているため、腹膜播種のように広範囲に散らばった病変に対しても、全身性のアプローチとして期待できる可能性があります(個人差があります)。
樹状細胞を用いた免疫療法には複数の種類がありますが、HITV療法の特徴は腫瘍内へのCTガイド下直接投与にあります。点滴や皮下注射で投与する方法と異なり、画像でリアルタイムに位置を確認しながら腫瘍の内部へ樹状細胞を届けることで、より直接的ながん抗原との接触が期待できます。

HITV療法の主な特徴
事前に知っておきたいこと
HITV療法を受ける場合の一般的な流れは以下のとおりです。治療計画は患者さまの状態に応じてオーダーメイドで作成されます。
現在の治療状況・検査データ・病歴などをもとに医師が状態を確認します。HITV療法の適応があるかどうかを含め、丁寧な説明がおこなわれます。医療相談:税込11,000円 / 初診料:税込33,000円(別途)。
患者さまの血液から単球を採取し、院内の細胞培養加工施設(CPC)で樹状細胞に培養・加工します。CPC(セルプロセッシングセンター)は国際GMP基準に準拠した施設です。
培養した樹状細胞をCTガイド下で腫瘍内に直接投与します。投与は日帰り外来で対応可能です。その後、定期的な経過観察をおこないながら治療効果を確認していきます。
HITV療法は標準治療(抗がん剤・放射線治療・手術)との併用が可能です。現在、主治医のもとで抗がん剤治療を受けている方や、放射線治療を終えた方でも相談できます。ただし、お体の状態や治療内容によって適応が異なるため、まずはご相談いただき、医師が個別に判断します。
「標準治療を続けながらプラスの選択肢を持ちたい」という方にとって、HITV療法は補完的なアプローチの一つになりえます。
| 項目 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 医療相談(電話・オンライン・対面) | 税込 11,000円 | 初回の状況確認・質問対応 |
| 初診料 | 税込 33,000円 | 診察・治療計画作成 |
| HITV療法治療費(総額) | 要相談 | 治療計画による・全額自己負担(自由診療) |
| CTガイド下投与オプション | 要相談 | 詳しくはご相談ください |
⚠ 費用についてのご注意
HITV療法は健康保険が適用されない自由診療です。治療費の総額は治療計画(投与回数・オプション内容など)によって異なり、個人差があります。費用の詳細は初診・医療相談時に医師から丁寧に説明を受けることができます。ご不明な点はご遠慮なくお問い合わせください。
ICVS東京クリニックは東京都千代田区・ホテルニューオータニ内新紀尾井町ビル4Fに所在しています。東京メトロ丸ノ内線・銀座線「赤坂見附駅」から徒歩4分、有楽町線「永田町駅」から徒歩5分、JR「四ツ谷駅」から徒歩8分とアクセスしやすい立地です。
治療は日帰り外来・完全予約制のため、遠方にお住まいの方や国内外からの患者さまも通院されています。日本語・英語・中国語に対応しており、海外在住の方のご相談も受け付けています。診療時間は9:00〜12:00・13:00〜17:00(土・日・祝休診)です。

「自分は対象になるだろうか」「今の治療と組み合わせられるか」――どんな疑問でも、まずはお気軽にご相談ください。医師が丁寧に状況をうかがいます。
ICVS東京クリニック 理事長 蓮見賢一郎 より
「治す」ことをあきらめず、これまでの治療の限界を超えて、がんから解放されるために――そのような思いをもってお越しになる患者さまやご家族の力となるため、私たちは尽くしてまいります。大腸がんの腹膜播種という困難な状況に直面されていても、HITV療法という選択肢を知っていただき、その可能性について一度ご相談いただければ幸いです。治療が始まった瞬間から、医師は患者さまのパートナーです。どんな困難な状況においても、最良のガイドとなるべく尽力いたします。