
抗がん剤治療を受けている患者さんやご家族にとって、「治療の効果が思うように現れない」という状況は、大きな不安と戸惑いをもたらします。
標準治療として提供される抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える重要な役割を果たしますが、すべての患者さんに同じように効果が現れるわけではありません。
治療を続けていく中で、「このまま同じ治療を続けていいのか」「他に選択肢はないのか」と悩まれる方は少なくありません。
本記事では、抗がん剤治療の効果が見られない場合に考えるべき次の治療の選択肢や、主治医との相談ポイント、そして治療変更のタイミングについて、がん免疫療法の専門医としての視点から解説します。
抗がん剤治療において最も重要な課題の一つが「薬剤耐性」です。
治療開始当初は効果を示していた抗がん剤が、時間の経過とともに効かなくなる現象は、多くのがん種で観察されます。
薬剤耐性には大きく分けて二つのタイプがあります。
「一次耐性」は、治療開始時からがん細胞が薬剤に対して抵抗性を持っている状態です。抗アポトーシスシグナルなどの内的因子により、一部のがん細胞が細胞死を回避してしまいます。
一方、「獲得耐性」は治療を続けていく過程で生じる耐性です。最初は薬剤が効いてがん細胞が減少しますが、生き残ったがん細胞が変化し、薬剤の存在下でも増殖できるようになります。
従来の抗がん剤に比べて高い治療効果を示す分子標的薬でも、薬剤耐性は重要な問題です。
例えば、メラノーマ(悪性黒色腫)の約半数で見られるBRAF遺伝子の変異に対して開発されたBRAF阻害剤は、当初高い効果を示しますが、投与開始から約半年で薬剤耐性を示すケースが報告されています。
これは、がん細胞が増殖シグナルの再活性化や抗アポトーシスシグナルの活性化など、複数のメカニズムを通じて薬剤の効果を回避するためです。BRAF阻害薬によってBRAF-MEK-ERK経路が遮断されても、STAT3などの別の経路が活性化し、抗アポトーシス因子の発現が再び誘導されることが明らかになっています。
抗がん剤治療の効果判定は、定期的な画像検査や血液検査によって行われます。
治療変更を考えるタイミングは、単に「効果が見られない」という理由だけでなく、患者さんの全身状態や生活の質(QOL)、副作用の程度なども総合的に判断する必要があります。

がん治療における効果判定には、一般的に「奏効率」という指標が用いられます。
これは、腫瘍が一定以上縮小した患者さんの割合を示すもので、完全奏効(腫瘍が完全に消失)、部分奏効(腫瘍が30%以上縮小)、安定(変化なし)、進行(腫瘍が20%以上増大)という分類があります。
治療変更を検討するのは、通常「進行」と判定された場合ですが、副作用が強く生活の質が著しく低下している場合や、安定状態が長期間続いている場合にも、治療方針の見直しが必要になることがあります。
最初に行う治療(ファーストライン治療)の効果が乏しくなった場合、別の抗がん剤治療に切り替えるセカンドライン治療が検討されます。
がん薬物療法では、より効果の高い薬剤を最初に使用するため、セカンドライン以降の治療では、異なる作用機序を持つ薬剤や、併用療法が選択されることが多くなります。
主治医との対話では、次の治療選択肢について十分な説明を受け、それぞれの治療の期待される効果、副作用、治療期間などを理解した上で、納得して治療を選択することが重要です。

再生医療は、細胞や組織の力を利用して機能の回復を目指す治療として注目されています。本記事では、再生医療の基本的な考え方やがん治療における役割、期待されている理由についてわかりやすく解説します。
標準治療として提供される抗がん剤治療や分子標的薬治療の効果が十分でない場合、次の選択肢として免疫療法が注目されています。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫系から逃れるために利用している「ブレーキ」を解除し、患者さん自身の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする治療法です。
この治療法は、一部のがん種において標準治療として確立されており、従来の抗がん剤とは異なる作用機序により、長期的な効果が期待できるケースもあります。
標準治療だけでは治癒が難しいとされるステージⅣの進行がん・再発がんに対して、当院が提供しているのがHITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)です。
HITV療法は、免疫システムの司令塔と呼ばれる樹状細胞を活用した次世代のがん免疫療法で、「延命ではなく、救命を目指す」という明確な理念のもとに開発されました。
この治療法の最大の特徴は、樹状細胞を腫瘍へ直接投与する点にあります。CT画像で確認しながら腫瘍内へ直接注入することで、患者さんご自身の腫瘍が持つ複数のがん情報を、より正確に樹状細胞へ学習させることを目指しています。
腫瘍に投与された樹状細胞は、がん情報を高精度で認識し、CTL(キラーT細胞)への指示を精密化します。投与後2週間前後からCTLが体内に誘導され、24時間休むことなくがん細胞へ攻撃を継続します。
なお、HITV療法は日本国内の医薬品医療機器等法において未承認であり、保険適用外の自由診療となります。

近年、がん治療において「ゲノム検査」が重要な役割を果たすようになっています。
ゲノム検査は、腫瘍組織や生検によって採取したがん細胞のDNA配列を解析し、遺伝子に変化があるかどうかを調べる検査です。
日本では「NCCオンコパネル114遺伝子」や「ファンデーションワン324遺伝子」などのゲノム検査が承認されており、がん細胞の遺伝子変異を特定することで、その変異に対して効果的な分子標的薬を選択できる可能性があります。
従来のがん薬物療法では、臓器別に同じ薬剤を使用していたため、同じ治療を受けても効果が出る人と全く効果がない人がいました。
ゲノム検査により、がん細胞の遺伝子変異を特定し、その変異に対応した薬剤を選択することで、より有効性の高い治療が期待できます。また、副作用が出にくい薬剤を選択することも可能になります。
ただし、実際に薬剤の適応になるケースは、検査を受けた患者さんの10~20%程度とされています。変異遺伝子が見つかっても、それに対応した治療薬が十分に存在しない場合や、臨床試験が少ない現実もあります。
抗がん剤が効かない場合の次の治療を検討する際、最も重要なのは「治療効果」と「生活の質(QOL)」のバランスです。
抗がん剤治療では、副作用は必ず出現します。
血液毒性として白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少が起こり、肝・腎機能障害や吐き気、嘔吐、口内炎、脱毛なども見られます。正常細胞においても分裂の盛んな細胞は障害を受けるためです。
近年では、副作用の軽減や治療効果の向上に取り組むことで、抗がん剤の治療負担を減らす試みが進んでいます。副作用を含めても有効性が上回るため治療が行われますが、患者さんの体力や生活環境を考慮した治療計画が不可欠です。

ICVS東京クリニックでは、患者さんの状態・症状・生活環境を総合的に考慮し、専門医が丁寧にカウンセリングと診断を行った上で、相乗効果を生む治療法を組み合わせたオーダーメイドの治療計画をご提案します。
治療は基本4回の来院で完結するよう設計されており、通院負担にも配慮しています。また、比較的身体への負担や副作用が少ないとされるHITV療法は、体力に不安のある方でも検討しやすい治療法です。
治療の流れは、初診・治療計画の説明、成分採血(アフェレーシス)、腫瘍の生検と解析、院内CPCでの細胞培養、樹状細胞の腫瘍内投与(CTガイド下)、活性化T細胞の点滴投与、PET-CT・血液検査による治療評価という7ステップで進みます。
がん治療において、治療を受ける医療機関の体制や実績は重要な判断材料です。
当院の免疫治療の研究・開発は、1948年に故・蓮見喜一郎博士が開発したがんワクチン(ハスミワクチン)を起点とし、約80年にわたる実績の延長線上にあります。
さらに、樹状細胞研究の功績により2011年にノーベル生理・医学賞を受賞したラルフ・スタインマン博士が、当院母体の技術顧問としてHITV療法の確立に長年貢献しました。
2008年の設立以来、当院は日本のみならず、台湾、中国、マレーシア、ロシア、オーストラリアなど世界各国から患者さんをお迎えし、2,000名以上の治療支援に携わってきました。
当院では、CTガイド下投与によりリアルタイムのCT画像をもとに穿刺を行い、腫瘍内へ正確に樹状細胞を直接投与する高度な医療技術を採用しています。
また、院内CPC(細胞培養加工施設)を完備し、国際的GMP基準に沿った環境を整え、専任の細胞培養士が適切に管理・処置を行っています。
さらに、再生医療等安全性確保法に則った運用を行い、厚生労働省の許可を受けた特定細胞加工施設として、品質管理を重視した培養体制を構築しています。

抗がん剤治療の効果が見られない場合、多くの患者さんやご家族が「もう治らないのではないか」という不安を感じます。
しかし、標準治療以外にも選択肢は存在します。
薬剤耐性のメカニズムを理解し、主治医と十分に対話しながら、セカンドライン治療やゲノム検査に基づく個別化医療、そして免疫療法など、さまざまな可能性を検討することが重要です。
ICVS東京クリニックは、「延命ではなく、救命を目指す」という姿勢を、患者さんと共有する場所です。標準治療だけでは治癒が難しいとされるステージⅣの進行がん・再発がんに対して、HITV療法という次世代免疫療法を提供しています。
今の治療に限界を感じている方、別の可能性を知ったうえで判断したい方にとって、一度相談してみる価値のあるクリニックです。
がん治療の選択は簡単なものではありません。しかし、「治すことを諦めない」という思いを持ち続けることが、次の一歩につながります。
詳しい治療内容や相談をご希望の方は、ICVS東京クリニックまでお問い合わせください。
ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

埼玉医科大学卒業。
東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。
世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。
米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。
ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。
その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。