
大腸がんの治療を終えた後、多くの方が「もう大丈夫」と安心される一方で、再発への不安を抱える方も少なくありません。
実際、大腸がんが再発した患者さんのうち、約80%が手術から3年以内、95%以上が5年以内に再発が見つかっているという報告があります。
再発は決して珍しいことではありません。しかし、早期に発見できれば再び手術を行うことで完治する可能性があり、手術で切除することができなくても、薬物療法や放射線療法により生存期間を延ばすことが期待できます。
本記事では、大腸がん再発時に現れる症状や体の変化、そして早期発見のために知っておくべき注意点について詳しく解説します。
大腸がんの「再発」とは、手術でがんをすべて切除できたと判断されても、手術で切り取った範囲の外に”飛び火”(転移)した少量のがん細胞が残っていることがあり、その残っていたごく小さながんが少しずつ大きくなり、目に見える(画像に写る)大きさになって現われることを指します。
手術の際、目に見えるがんはすべて取り除かれます。しかし、顕微鏡レベルで進展するがん細胞は、手術中にお腹の中を確認しても正確に診断できないことがあります。
これらの微細ながん細胞が血液により移動・着床することが転移・再発の一因となります。画像診断で判別できない微細ながん細胞が体内に残っていた場合、時間の経過とともに増殖し、再発として発見されるのです。
大腸がんの再発は、主に以下の部位で起こりやすいとされています。
日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすく、これらの部位での再発にも注意が必要です。

大腸がんの再発は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、進行するにつれて様々な症状が現れます。
以下のような症状に気づいたら、自己判断せず早めに医療機関を受診することが重要です。
便の状態は、大腸の健康状態を知る重要なバロメーターです。
これらの症状は、痔などの良性の病気でも起こりますが、大腸がん再発の可能性も考慮する必要があります。
腹部に現れる症状も、再発の重要なサインとなります。
局所的な症状だけでなく、全身に現れる症状にも注意が必要です。
再発の部位によって、特徴的な症状が現れることがあります。
局所再発と診断される患者さんは、定期的な手術後の検診で診断されることが多く、症状がない状態で診断される場合もあります。

大腸がんの再発リスクは、いくつかの要因によって高まることが知られています。
初回診断時のステージが進行していた場合、再発リスクが高くなります。特にステージⅢやⅣの場合、リンパ節転移や遠隔転移があったため、再発の可能性が高まります。
大腸がんの多くは腺がんですが、その中でも低分化腺がん、粘液がん、印環細胞がんなどは、より悪性度が高く再発リスクが高いとされています。
食習慣の欧米化(高脂肪・低食物繊維)、飲酒・喫煙、睡眠不足、運動不足などが慢性炎症や酸化ストレスを引き起こし、再発リスクを高める可能性があります。
家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝性の疾患がある人は、大腸がんの発症リスクだけでなく、再発リスクも高くなることが報告されています。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患がある人は、大腸の粘膜の慢性的な炎症を原因とする大腸がんになる可能性が高くなり、再発リスクも高まるとされています。
再発を早期に発見するためには、定期的な検査が不可欠です。
定期検査を怠ると、再発の発見が遅れ、適切な治療を受けるタイミングを逃してしまう可能性があります。
定期的に受ける検査の種類や間隔は、ステージや患者さんの状態によって若干異なりますが、医師の指示に従って、きちんと定期検査を受けるようにしましょう。
一般的には、手術を受けてから最低5年間は、定期的に検査を受ける必要があります。

再発が起こっても、早期に発見できれば再び手術を行うことで完治する可能性があります。手術で切除することができなくても、薬物療法や放射線療法により生存期間を延ばすことが期待できます。
定期検査は、再発を早期に発見し、適切な治療につなげるための最も重要な手段です。
再発が発見された場合、その部位や進行度に応じて様々な治療法が選択されます。
再発部位が限局しており、完全に切除が可能と診断された場合、手術が第一選択となります。
特に肝臓や肺への転移が単発または少数の場合、切除により根治を目指すことができます。局所再発の場合も、周囲臓器合併切除や骨盤壁合併切除を含む拡大手術により、完全切除を目指します。
手術が難しい場合や、複数の臓器に転移がある場合には、抗がん剤治療が選択されます。
最初の薬の効き目が薄れた後も他の薬に切り替えることで延命を期待することができます。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、新しい治療法も登場しています。
骨盤内の局所再発や骨転移に対して、放射線療法が有効な場合があります。痛みの緩和や腫瘍の縮小を目的として行われることもあります。

標準治療だけでは治癒が難しいとされるステージⅣの進行がん・再発がんに対して、HITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)という次世代免疫療法が選択肢の一つとなっています。
この治療法は、免疫システムの”司令塔”とも呼ばれる樹状細胞を活用し、体内でがんを攻撃する主力であるCTL(キラーT細胞)を効率的に誘導することで、がんの消失(治癒)を目標にする免疫細胞療法です。
樹状細胞を腫瘍へ直接投与することで、患者さんご自身の腫瘍が持つ複数のがん情報を正確に学習させ、腫瘍そのものを免疫細胞の”生産工場”に変えるという考え方に基づいています。
なお、HITV療法は日本国内の医薬品医療機器等法において未承認であり、保険適用外の自由診療となります。
治すことが難しい場合も、生活の質を保つことを重視し、がんの症状を和らげる薬物療法や緩和ケアが行われます。
痛みのコントロール、栄養管理、精神的サポートなど、患者さんの生活の質を維持・向上させるための包括的なケアが提供されます。
再発を100%防ぐことはできませんが、日常生活の中で再発リスクを少しでも下げるための工夫があります。
適度な運動は、免疫機能を高め、体重管理にも役立ちます。無理のない範囲で、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などを習慣化しましょう。
喫煙は大腸がんの再発リスクを高めるだけでなく、他のがんのリスクも高めます。禁煙は再発予防の重要な要素です。
慢性的なストレスは免疫機能を低下させる可能性があります。十分な睡眠、リラクゼーション、趣味の時間などを大切にしましょう。
肥満は大腸がんの再発リスクを高める要因の一つです。適正体重を維持するよう心がけましょう。

再発を告知されたときは、初めてがんと告げられたときよりも強いショックを受けるかもしれません。
しかし、大腸がんの場合は、再発を繰り返しても元気に生活している人がたくさんいます。
将来が見通せない絶望感や怒り、がんになったことを否定したい気持ちがわき上がってくることもあるでしょう。これらの感情は自然な反応です。
どうがんばっても今、ここにある「がん」をなかったことにすることはできません。しかし、足元をしっかり見つめながら今できる最善のことを一歩一歩、着実に進めていくことが大切です。
悩みや不安、痛みなどは一人で抱え込まず、担当医はもちろん、家族や親しい友人、知人、医療相談室のスタッフなどに伝えましょう。
落ち込みや否定の気持ちが強く自分一人では抜け出せないようなときは、サイコオンコロジスト(精神腫瘍医)や公認心理師などといった心の専門家の助けが必要です。
担当医とよく相談し、治療に関する患者さん自身の希望をしっかり伝え、前向きに治療を受けることが大切です。
人間は最悪の事態に直面しても、心の奥底に希望を信じる力を秘めています。「治療法があるだけありがたい」と開き直った心境になることで、治療に前向きになれることもあります。
大腸がんの再発は決して珍しいことではありません。しかし、早期発見と適切な治療により、再発後も長く元気に生活することは十分に可能です。
便の異常、血便、腹痛、貧血などの症状に気づいたら、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。定期検査を怠らず、医師の指示に従って検査を受けることが、早期発見の鍵となります。
再発が見つかった場合でも、外科的切除、薬物療法、放射線療法、そして次世代免疫療法など、様々な治療選択肢があります。担当医とよく相談し、ご自身の希望を伝えながら、最適な治療法を選択していくことが大切です。
また、日常生活での食生活の改善、運動習慣、禁煙、ストレス管理などを通じて、再発リスクを少しでも下げる努力も重要です。
心のケアも忘れてはいけません。一人で悩みを抱え込まず、家族や医療スタッフ、心の専門家のサポートを受けながら、前向きに治療に取り組んでいきましょう。
ICVS東京クリニックでは、「延命ではなく、救命を目指して」という理念のもと、ステージⅣの進行がん・再発がんに特化したHITV療法を提供しています。標準治療だけでは治癒が難しいとされる状態でも、治すことを諦めず、患者さんとご家族の力となるために、治療の可能性を最後まで追求しています。
再発への不安や治療の選択肢について、詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療計画を、専門医が丁寧にご提案いたします。
あなたの希望を、私たちと一緒に追求していきましょう。
ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

埼玉医科大学卒業。
東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。
世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。
米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。
ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。
その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。