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抗がん剤治療と副作用・・・多くの患者さんが抱える不安

がんと診断されたとき、多くの方が「抗がん剤治療」という言葉に不安を感じます。

「髪が抜けるのではないか」「吐き気で苦しむのではないか」・・・そんな心配を抱えながら治療に臨む方は少なくありません。実際に、抗がん剤治療には副作用が伴うことが多く、その症状や程度は患者さんによって異なります。

しかし、なぜ抗がん剤には副作用が起こるのでしょうか。その仕組みを理解することで、治療への不安を少しでも軽減し、前向きに向き合うことができるかもしれません。

この記事では、抗がん剤の副作用が起こるメカニズムから、具体的な症状、そして治療を継続するために知っておきたい情報まで、医療現場の視点から詳しく解説します。

抗がん剤の副作用が起こる仕組み

抗がん剤の副作用は、薬剤ががん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えることによって起こります。

細胞分裂の盛んな細胞が影響を受けやすい

 

従来から存在する抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)は、細胞の分裂を障害することでがん細胞を攻撃します。がん細胞は通常の細胞よりも活発に分裂するため、抗がん剤の標的となりやすいのです。

しかし、正常な細胞の中にも分裂が盛んなものがあります。消化管の粘膜、骨髄の造血細胞、毛根の細胞などがその代表例です。これらの細胞も抗がん剤の影響を受けてしまうため、副作用として様々な症状が現れます。

脳の嘔吐中枢への刺激

 

吐き気や嘔吐は、抗がん剤が脳の嘔吐中枢を刺激することで起こります。また、消化管の粘膜が直接ダメージを受けることも、これらの症状の原因となります。

現在では、吐き気止めの薬(制吐剤)が発達しており、予防的に使用することで症状をかなり抑えることができるようになっています。

副作用の出現時期には一定のパターンがある

 

抗がん剤の副作用には、症状が出てくる時期がある程度決まっています。治療直後にはアレルギー反応が、治療から1~2週間程度の期間には吐き気や食欲低下、だるさ、口内炎、下痢などが、2週間以降には脱毛や手足のしびれ、皮膚の異常などが現れることが多いです。

出典一般社団法人がん患者支援協会「抗がん剤の副作用について」より作成

抗がん剤の主な副作用とその特徴

抗がん剤による副作用は多岐にわたります。ここでは、特に患者さんの生活に影響を与えやすい副作用について詳しく解説します。

血液毒性・・・感染症や出血のリスク

 

骨髄における造血機能が抑制されることで、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血などが起こります。

白血球減少では、細菌などで感染しやすい状態になります。白血球減少自体に自覚症状はありませんが、感染を起こした場合にその症状が現れます。

好中球減少では、熱が出たり、口や肛門の周りに痛みを伴うびらんが発生したりすることがあります。重度の感染症を起こすリスクもあるため、注意が必要です。

血小板減少では、出血が起こりやすく、血が止まりにくくなります。あおあざができやすくなったり、手足に点状出血がみられたりすることがあります。

貧血では、立ち眩み、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどの症状が起こります。

消化器毒性・・・日常生活への影響が大きい症状

 

消化管の粘膜は細胞分裂が盛んなため、抗がん剤の影響を受けやすい部位です。

吐き気・嘔吐は、脳の嘔吐中枢が刺激されることや、消化管の働きが乱れることによって起こります。現在では制吐剤の発達により、予防的に使用することで症状をかなり抑えることができます。

食欲不振は、吐き気や倦怠感、味覚の変化などが複合的に影響して起こります。何日にもわたり食欲不振が続く場合は、医療機関に相談することが大切です。

下痢は、腸の運動が活発になり水分が十分に吸収される前に排泄される早発性下痢と、腸の粘膜が傷付けられることにより起こる遅発性下痢があります。

口内炎は、口の粘膜が抗がん剤によってダメージを受けるために起こります。痛みが強く、食事も口からとることができないほどになることもあります。

脱毛・・・外見の変化による心理的影響

 

毛根の細胞は活発に分裂するため、抗がん剤の影響を受けやすいです。髪の毛だけでなく、眉毛やまつ毛、体毛も抜けることがあります。

治療が終われば徐々に再び生えてきますが、治療中の外見の変化は患者さんの心理的負担となることがあります。

末梢神経障害・・・日常動作への影響

 

手や足の指先がピリピリとしびれたり、感覚が鈍くなったりします。物がつかみにくくなったり、ボタンがかけにくくなったりするなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

症状の出方や程度には個人差があり、治療終了後も症状が残る場合があります。

抗がん剤の種類による副作用の違い

抗がん剤には複数の種類があり、それぞれ作用の仕組みや副作用の特徴が異なります。

細胞障害性抗がん剤

 

細胞障害性抗がん剤は、がん細胞の分裂や増殖を直接妨げる薬剤です。がん細胞のDNAやRNAの合成を阻害したり、細胞分裂に必要な構造を破壊したりします。

分裂が盛んな血液細胞や消化器官の細胞、毛根などの正常な細胞も影響を受けやすく、骨髄抑制や脱毛、吐き気といった副作用が生じることがあります。

分子標的薬

 

分子標的薬は、がん細胞に特有の分子や異常な信号伝達経路を狙って作用する抗がん剤です。正常細胞への影響を抑えながらがん細胞を標的にすることを目指しています。

従来の抗がん剤に比べて副作用が軽い傾向がありますが、皮膚症状や高血圧、肝機能障害などの副作用が現れることもあります。発熱、吐き気、寒気、だるさ、皮膚の発疹などが一般的です。

免疫チェックポイント阻害剤

 

免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫から逃れる仕組みを抑え、患者さんの免疫システムを活性化してがん細胞を攻撃する薬剤です。

免疫のブレーキをブロックして活性化させるため、免疫が働き過ぎることによる副作用が現れる可能性があります。この免疫に関与した副作用は「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれ、皮膚、消化管、肝臓、肺、ホルモン産生臓器に比較的多く現れます。

出典ファイザー株式会社「がん治療~薬物療法とは(抗がん剤など)|がんを学ぶ」より作成

抗がん剤治療を継続するために知っておきたいこと

抗がん剤治療は、副作用との向き合い方が治療継続の鍵となります。

副作用は個人差が大きい

 

抗がん剤の副作用は、患者さん一人ひとりの体質や、使用する薬の種類、投与量、治療期間によって大きく異なります。同じ薬を使っても、症状の出方や程度は人それぞれです。

また、抗がん剤単独の治療では30~40%のがんに対して効果があるとされていますが、これは逆に言えば、60~70%のがんには効かない可能性があるということです。使ってみなければ効果があるかどうかは判断できません。

副作用対策の進歩

 

近年では、副作用を軽減するための薬やサポート治療が進歩しており、患者さんの負担を和らげるための選択肢が拡大しています。

吐き気止めの薬(制吐剤)の発達により、予防的に使用することで症状をかなり抑えることができるようになっています。また、口内炎や皮膚障害などに対しても、適切なケアや対症療法が確立されてきています。

治療を中止する判断基準

 

抗がん剤治療を中止する主なケースは、以下のとおりです。

  • 治療に有効な抗がん剤がなくなった場合・・・がんの症状が悪化し、使える薬剤が限られてきた状態
  • 体調が悪化し、治療の継続が困難になった場合・・・全身状態の低下により治療に耐えられない状態
  • QOL(生活の質)の維持を優先する場合・・・患者さん自身が治療を希望しないケース

がん患者さんの全身状態を評価する指標である「パフォーマンス・ステータス(PS)」は、0~4の5段階で日常生活の制限の程度を示します。PS3以上の場合では使える抗がん剤はあるものの、積極的に治療が行われるケースは少ないと言われています。

出典がん患者支援サイト「抗がん剤は効かなくなる場合がある? 余命との関係性と抗がん剤治療」より作成

免疫療法という選択肢・・・HITV療法について

抗がん剤治療の副作用に不安を感じる方や、標準治療に限界を感じている方に向けて、免疫療法という選択肢があります。

HITV療法の特徴

 

ICVS東京クリニックで行われているHITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)は、免疫の司令塔である「樹状細胞」を活用した免疫細胞療法です。

樹状細胞は、攻撃対象となるがん細胞の情報を学習・獲得し、高い攻撃力を持つ免疫細胞CTL(キラーT細胞)にその情報を伝達する役目を持ちます。その情報に基づき、体内に誘導されたCTLが効率的にがん細胞を攻撃・排除します。

樹状細胞を腫瘍へ直接投与する独自技術

 

HITV療法の大きな特長のひとつが、樹状細胞をCTガイド下で腫瘍内へ直接投与する独自の方法です。

リアルタイムのCT画像をもとに、穿刺によって樹状細胞を腫瘍内へ正確に直接投与する高度な医療技術により、樹状細胞の機能を最大限引き出します。これにより、がんの情報をより正確に免疫細胞へ伝えることが期待されます。

身体への負担が比較的少ない治療法

 

HITV療法は、患者さんご自身の体内にあるがんの情報をもとに免疫細胞を働かせ、体の内側からがん細胞に向き合うことを目的とした治療法で、身体への負担が比較的少ない点も特徴とされています。

治療はすべて外来通院で行われ、入院の必要はありません。遠方から来院される方への配慮や、治療期間・費用についても事前にしっかり話し合う姿勢が取られています。

ステージⅣの進行がん・再発がんに特化

 

HITV療法は、ステージⅣの進行がんや再発がんなど、一般的な治療では難しいとされるケースに対しても、「治すことをあきらめない」という姿勢で診療にあたっています。

また、がん発症予防・再発予防としてpreHITV療法も受けることができます。

※HITV療法は、日本国内における医薬品医療機器等法において未承認であり、保険適用外の自由診療となります。

まとめ・・・副作用の仕組みを理解し、前向きに治療と向き合う

抗がん剤の副作用は、薬剤ががん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えることによって起こります。

消化管の粘膜、骨髄の造血細胞、毛根の細胞など、細胞分裂が盛んな正常細胞も影響を受けるため、吐き気、脱毛、血液毒性、口内炎などの症状が現れます。副作用の出現時期や程度には一定のパターンがありますが、個人差も大きいです。

近年では、副作用を軽減するための薬やサポート治療が進歩しており、患者さんの負担を和らげるための選択肢が拡大しています。また、免疫療法という新たな選択肢も登場しており、抗がん剤治療との併用や、標準治療に限界を感じた方への代替療法として注目されています。

治療への不安や疑問がある場合は、主治医や医療スタッフに相談し、納得したうえで治療方針を決めることが大切です。

ICVS東京クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態や治療歴、生活背景を踏まえたオーダーメイドの治療計画を重視しています。事前診断では、PET-CTなどの画像データや血液検査結果をもとに、治療の適応や見通しについて丁寧な説明が行われ、納得したうえで治療を検討できる体制が整えられています。

「今の治療に不安がある」「別の視点から話を聞いてみたい」と感じたとき、相談先のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか。

詳しい情報や治療のご相談については、ICVS東京クリニックの公式サイトをご覧ください。

著者情報

ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

 

【経歴】

埼玉医科大学卒業。

東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。

世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。

米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。

ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。

その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。