大腸がんはなぜ肝臓に転移しやすい?肝転移の特徴と治療の考え方|コラム|東京のがん免疫療法なら【ICVS東京クリニック】まで

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大腸がんはなぜ肝臓に転移しやすい?肝転移の特徴と治療の考え方大腸がん2026/04/05(日)

大腸がんの診断を受けた患者さんやご家族にとって、「転移」という言葉は大きな不安を伴うものです。

特に肝臓への転移は、大腸がんで最も頻度の高い転移形態として知られています。

なぜ大腸がんは肝臓に転移しやすいのでしょうか?

この問いに対する答えを理解することは、今後の治療方針を考える上で非常に重要です。本記事では、大腸がんの肝転移が起こるメカニズム、診断方法、そして最新の治療選択肢について、専門的な視点から詳しく解説します。標準治療だけでは限界を感じている方、新たな治療の可能性を探している方にとって、有益な情報となるはずです。

大腸がんが肝臓に転移しやすい理由

大腸がんが肝臓に転移しやすいのには、明確な解剖学的理由があります。

大腸から吸収された栄養や物質は、門脈という血管を通じて肝臓へ運ばれます。この血流の経路が、がん細胞の移動ルートとなってしまうのです。大腸で発生したがん細胞が血管内に侵入すると、門脈を介して直接肝臓へ到達します。肝臓は体内で最も血流が豊富な臓器の一つであり、がん細胞が着床しやすい環境が整っているといえます。

大腸癌研究会のデータによれば、大腸がん治癒切除後の肝臓への初発再発率は約7.1%とされています。これは他の臓器への転移と比較しても高い数値です。肝転移は血行性転移の中で最も頻度が高く、肺転移がそれに続きます。

転移のメカニズムを理解することで、なぜ早期発見と適切な治療が重要なのかが明確になります。がん細胞が血管内に侵入する前、つまり粘膜や粘膜下層にとどまっている段階で発見できれば、転移のリスクを大幅に減らすことができるのです。

出典日本大腸肛門病学会「大腸がんが肝臓に転移したら…?」より作成

肝転移の診断方法

画像診断の重要性

肝転移の診断には、複数の画像検査が用いられます。

最も一般的なのは造影CT検査です。造影剤を使用することで、肝臓内の転移巣を明瞭に描出することができます。超音波検査も初期スクリーニングとして有用で、定期的なフォローアップに適しています。より詳細な診断が必要な場合には、肝臓MRI検査、特にEOB-MRI検査が実施されます。

EOB-MRI検査は、肝臓に特異的に取り込まれる造影剤を使用するため、転移巣の位置、大きさ、個数をより正確に把握できます。手術が可能かどうかを判断する際には、この検査結果が重要な判断材料となります。

腫瘍マーカーの役割

血液検査による腫瘍マーカー測定も、転移・再発のチェックに欠かせません。

大腸がんではCEAとCA19-9という2つのマーカーが主に使用されます。これらの数値が高値を示す場合、転移や再発の可能性が示唆されます。ただし、腫瘍マーカーだけでは確定診断はできず、必ず画像検査と組み合わせて総合的に判断します。

PET-CT検査の活用

他の臓器への転移の有無を確認するため、PET-CT検査が行われることもあります。

この検査は全身のがん細胞の分布を一度に把握できる利点があり、治療方針の決定に役立ちます。特に手術を検討する際には、肝臓以外に転移がないことを確認するために重要な検査となります。

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肝転移の治療選択肢

手術による根治を目指す

肝転移の治療において、最も根治の可能性が高いのは手術による切除です。

他の臓器に転移がなく、肝臓のみの転移で、かつ肝切除が可能な場合は、積極的に手術が推奨されます。肝転移の部位、大きさ、個数により手術術式は異なりますが、近年では腹腔鏡手術も普及してきており、身体への負担を軽減した低侵襲な手術も選択できるようになっています。

肝切除後の5年生存率は30%を超える報告が多く、肝転移巣をすべて取りきれた場合には、生存期間の延長だけでなく、治癒する可能性もあります。手術前には肝機能のチェックが必須で、残される肝臓の容積と機能が十分であることを確認します。

出典日本大腸肛門病学会「大腸がんが肝臓に転移したら…?」より作成

化学療法の進歩

肝切除が困難な場合、化学療法が選択されます。

近年、分子標的薬をはじめとする化学療法は著しく進歩しており、切除不能大腸がんの生存期間中央値は約30ヵ月を超えるようになってきました。通常、抗がん剤と分子標的薬を組み合わせて治療を行います。

現在では、患者さん各々のがん組織で起きている遺伝子変異などに応じて、効果を示す化学療法剤を選択できるようになっています。RAS遺伝子、BRAF遺伝子、そしてMSIの測定を行い、適切な化学療法レジメンを選択します。大腸がん治療ガイドラインでは、切除不能な場合でも5次治療まで候補があり、多様な治療選択肢が用意されています。

Conversion Surgery(コンバージョン手術)の可能性

化学療法が著明に奏効し、転移巣が縮小した場合、根治手術が可能になることがあります。

これを「Conversion Surgery」と呼びます。当初は切除不能と判断された多発肝転移であっても、化学療法により腫瘍が縮小すれば、肝切除可能となる場合があるのです。実際に、切除不能大腸がんの生存期間中央値は約30ヵ月とされていますが、Conversion Surgeryにより根治術を行えた患者さんの中には、10年以上無再発で生存されている方もいます。

熱凝固療法という選択肢

熱凝固療法には、マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法があります。

肝切除と比較すると出血が少なく、身体への負担が少ない治療法です。ただし、手術よりは再発が多いため、切除しにくい部位の転移や、手術に危険が伴う患者さんに使用されることが多い治療方法です。切除する肝転移巣が多数存在する場合には、切除できる部位は肝切除を行い、残りの切除しにくい転移巣に対して熱凝固療法を行うという組み合わせも可能です。

治療方針の決定プロセス

集学的治療の重要性

大腸がんの肝転移治療では、外科医、腫瘍内科医、薬剤師、看護師によるチーム医療が不可欠です。

手術と化学療法を組み合わせた集学的治療により、より良い治療成績が得られるようになっています。大腸外科医と肝臓外科医が連携し、腫瘍内科医が最適な薬物療法を提案することで、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を立案します。

患者さんの状態に応じた治療選択

治療方針は、がんの進行度だけでなく、患者さんの年齢、体力、これまでの治療歴、生活環境なども総合的に考慮して決定されます。

ステージⅣであっても、諦めずに治療を受けることが重要です。標準治療に加えて、患者さんの状態や希望に応じた治療法を検討することで、生活の質を保ちながら治療を続けることが可能になります。

免疫療法という新たな選択肢

HITV療法の特徴

標準治療だけでは十分な効果が得られなかった方にとって、免疫療法は一つの選択肢となります。

ICVS東京クリニックでは、「延命ではなく、救命を目指して」という理念のもと、ステージⅣの進行がん・再発がんに特化したHITV療法(Human Initiated Therapeutic Vaccine)を提供しています。この治療法は、免疫システムの司令塔と呼ばれる樹状細胞を活用した次世代のがん免疫療法です。

HITV療法の大きな特徴は、樹状細胞を腫瘍へ直接投与する点にあります。CT画像で確認しながら腫瘍内へ直接注入することで、患者さん自身の腫瘍が持つ複数のがん情報を、より正確に樹状細胞へ学習させることを目指します。腫瘍内注入が難しい場合は、腫瘍を栄養する主要血管内への投与も可能です。

腫瘍のワクチン化という考え方

HITV療法では、腫瘍そのものを免疫細胞の生産工場に変えるという独自の考え方を採用しています。

腫瘍内に直接投与された樹状細胞は、患者さん自身のがん細胞が持つ情報を高精度で学習し、それをもとに強力な免疫細胞(CTL:キラーT細胞)を体内で誘導します。投与後2週間前後からCTLが体内に誘導され、24時間休むことなくがん細胞へ攻撃を継続します。

誘導されたCTLは血液に乗って全身を巡り、画像診断では捉えきれない微細ながん細胞に対しても攻撃を続けるため、転移・再発の抑制を目指す治療とされています。これは、大腸がんの肝転移のように血行性転移が問題となる場合に、特に意義のある考え方といえます。

世界水準の医療体制

ICVS東京クリニックは、2008年の設立以来、世界各国から2,000名以上の患者さんを受け入れてきました。

院内には国際的なGMP基準に準じた細胞培養加工施設(CPC)を完備しており、採取した細胞はすべて院内で厳密に管理・培養されます。再生医療等安全性確保法に則り、厚生労働省の許可を受けた特定細胞加工施設として運営されており、細胞の品質管理と治療の安全性が確保されています。

治療は、事前に提出されたPET-CTや血液検査などのデータをもとに、一人ひとりに合わせた治療計画を丁寧に立案します。医師から十分な説明を受け、納得したうえで治療を開始できる体制が整えられています。来院回数は基本的に4回程度で、通院負担にも配慮されています。

なお、HITV療法は日本国内の医薬品医療機器等法において未承認であり、保険適用外の自由診療となります。

治療後のフォローアップ

サーベイランスの重要性

肝転移の治療後は、定期的なサーベイランス(経過観察)が極めて重要です。

再発の早期発見により、再度の治療介入が可能になる場合があります。通常、血液検査による腫瘍マーカー測定と画像検査を組み合わせて、定期的にチェックを行います。根治手術後の患者さんでは、特に最初の2年間は3〜6ヵ月ごとの厳重なフォローアップが推奨されます。

生活の質を保つために

治療効果だけでなく、生活の質(QOL)を保ちながら治療を続けることも重視されています。

身体への負担を抑えた治療法の選択、副作用への適切な対応、心理的サポートなど、多角的なケアが提供されることで、患者さんが日常生活を維持しながら治療を継続できる環境が整えられています。

まとめ

大腸がんが肝臓に転移しやすいのは、門脈を介した血流の解剖学的経路が理由です。

しかし、肝転移が見つかったとしても、決して希望を失う必要はありません。手術、化学療法、熱凝固療法など、患者さんの状態に応じた多様な治療選択肢が用意されています。特に近年では、化学療法の進歩により、当初は切除不能と判断された転移巣でも、治療によって切除可能になるケースが増えています。

標準治療に加えて、免疫療法という選択肢も存在します。ICVS東京クリニックのHITV療法のように、樹状細胞を活用した次世代の免疫療法は、標準治療だけでは限界を感じている方にとって、一つの可能性となるかもしれません。

大切なのは、現在の治療に限界を感じたときでも、別の可能性を知ったうえで判断することです。外科医、腫瘍内科医、そして免疫療法の専門医など、複数の専門家の意見を聞き、ご自身とご家族が納得できる治療法を選択してください。ステージⅣであっても、諦めずに治療を受け続けることが、何よりも重要なのです。

ICVS東京クリニックでは、進行がん・再発がんに特化した免疫療法の相談を受け付けています。標準治療だけでは十分な効果が得られなかった方、新たな治療の可能性を探している方は、ぜひ一度ご相談ください。

詳細はこちらのHPをご覧ください

著者情報

ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

 

【経歴】

埼玉医科大学卒業。

東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。

世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。

米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。

ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。

その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。