
がんの治療を終えた後、多くの患者さんやご家族が最も心配されるのが「再発」です。
「治療は成功したと言われたけれど、本当に大丈夫だろうか」「再発を防ぐために、何かできることはあるのだろうか」・・・そんな不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
がんの再発率は、がんの種類や進行度(ステージ)、そして選択した治療法によって大きく変わります。適切な治療方針を選び、術後の補助療法を受けることで、再発リスクを大幅に下げることが可能です。
この記事では、がんの再発率と治療の関係について、最新の医学的知見をもとに詳しく解説します。
がんの再発率は、治療後にがんが再び現れる確率を示す指標です。
再発には「局所再発」と「遠隔転移」があります。局所再発は、元のがんがあった場所やその周辺で再びがんが発生すること、遠隔転移は、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って別の臓器に移動し、そこで増殖することを指します。

大腸がんを例に見てみましょう。
ステージⅠでは再発率は約3.7%と低く、ほとんどの患者さんが治癒します。ステージⅡになると再発率は約13.3%に上昇し、ステージⅢでは約30.8%とさらに高くなります。
このように、がんの進行度が進むほど再発リスクは高まります。
出典
(大腸癌研究会プロジェクト研究1991~1996年症例)より作成
再発する時期にも特徴があります。
大腸がんの場合、術後3年以内に約80%以上の再発が起こります。術後5年を超えての再発は1%以下と言われており、多くの場合、治療後の早い段階で再発が判明します。
そのため、術後3年までは3か月に1回、3年以降は6か月に1回、術後5年間を目安に定期検査を行うことが推奨されています。
出典
より作成

結論から申し上げると、治療法の選択は再発率に大きく影響します。
手術でがんを完全に切除できたとしても、目に見えない微小ながん細胞が残っている可能性があります。これらの微小ながん細胞が後に増殖することで再発が起こるのです。
手術では、がんそのものだけでなく、周囲のリンパ節も含めて切除します。
リンパ節への転移がある場合、適切な範囲のリンパ節郭清を行うことで再発リスクを下げることができます。ただし、手術の範囲が広すぎると患者さんの負担が大きくなるため、がんの進行度に応じた適切な範囲の手術が重要です。
手術後に行う抗がん剤治療を「術後補助化学療法」と言います。
これは、手術で取り切れなかった可能性のある微小ながん細胞を攻撃し、再発を予防するための治療です。大腸がんの場合、基本的にはステージⅢが適応となりますが、ステージⅡでも再発リスクが高いと判断される場合には推奨されます。
術後補助化学療法を行うことで、再発率を大幅に下げることができます。

胆道がんでは、S-1という抗がん剤を用いた補助療法の有効性が証明されています。
国立がん研究センターが中心となって行った大規模臨床試験では、胆道がん根治手術後の患者さん440人を対象に、S-1補助療法を行うグループと術後経過観察のみのグループを比較しました。その結果、3年生存割合は経過観察群で67.6%、S-1群で77.1%と、S-1群で有意に生存期間が延長することが示されました。
この結果により、S-1補助療法が胆道がん根治手術後の標準治療として確立されました。
出典
国立がん研究センター「S-1補助療法が胆道がん根治手術後の標準治療となることを証明」
(2023年2月1日)より作成
再発を防ぐためには、がんの種類や進行度に応じた適切な治療方針を選ぶことが不可欠です。
すべての患者さんに同じ治療を行うのではなく、個々のリスクを評価して治療を選択します。
大腸がんのステージⅡでも、腸閉塞をきたしていた場合、多臓器浸潤を認めた場合、腸に穴が開いていた場合、細胞レベルの悪性度が高い場合、摘出されたリンパ節が12個未満の場合、がんの近くの静脈やリンパ管にがん細胞の浸潤がある場合は、「ハイリスクステージⅡ」と呼ばれ、術後化学療法が推奨されます。
出典
より作成
標準治療である手術や化学療法に加えて、免疫療法などの先進医療を組み合わせることで、さらに高い治療効果が期待できる可能性があります。
免疫療法は、患者さん自身の免疫システムを活性化させ、がん細胞を攻撃する治療法です。ICVS東京クリニックでは、樹状細胞を用いた「HITV療法」という免疫療法を専門に行っており、ステージⅣの進行がんや再発がんに対しても、治癒を目指した治療を提供しています。

治療後の定期検査は、再発の早期発見に欠かせません。
腫瘍マーカー、CT検査、大腸内視鏡検査などを定期的に行うことで、万が一再発した場合でも早期に発見し、適切な治療を開始することができます。再発した場合でも、再発部位とその数によっては、再手術や薬物療法によって治癒できることもあります。
医療機関での治療だけでなく、日常生活での取り組みも再発予防に役立ちます。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠は、免疫力を維持するために重要です。
喫煙や過度の飲酒は避け、ストレスを溜めないよう心がけることも大切です。これらの生活習慣の改善は、がんの再発リスクを下げるだけでなく、全身の健康状態を向上させることにもつながります。
主治医の指示に従い、定期検査を必ず受けましょう。
「体調が良いから大丈夫」と自己判断で検査をスキップすることは避けてください。再発は自覚症状がないうちに進行していることもあるため、定期的なチェックが早期発見の鍵となります。
ICVS東京クリニックでは、がん発症予防・再発予防を目的とした「preHITV療法」も提供しています。
これは、がんの治療を終えた方や、がんのリスクが高い方を対象とした予防的な免疫療法です。樹状細胞を活用して免疫システムを強化し、微小ながん細胞の増殖を抑えることを目指します。
がんの再発率は、がんの種類や進行度、そして選択する治療法によって大きく変わります。
適切な手術と術後補助化学療法を組み合わせることで、再発リスクを大幅に下げることが可能です。また、個々の患者さんのリスクを評価し、必要に応じて免疫療法などの先進医療を取り入れることで、さらに高い治療効果が期待できます。
治療後の定期検査を欠かさず、生活習慣を見直すことも再発予防には重要です。
ICVS東京クリニックでは、患者さんお一人おひとりに適した治療計画をご提案し、延命ではなく救命を目指した治療を行っています。がんの再発予防や治療について、ご不安なことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
詳しい治療内容や相談予約については、ICVS東京クリニックの公式サイトをご覧ください。
ICVS東京クリニック 理事長 蓮見 賢一郎

埼玉医科大学卒業。
東京大学医科学研究所を経て、現在は米国法人 蓮見国際研究財団理事長。
世界各国で『国際がんワクチン・シンポジウム』を開催し、がん免疫療法の啓蒙と研究活動を推進している。
米国Thomas Jefferson 大学 Kimmel Cancer Center に研究講座を開設、同大学の客員教授。
ブルガリアPleven 医科大学より、がん免疫療法の研究活動に対して名誉博士号授与。
その他、米国Maryland 州立大学、ドイツ Erlangen 大学との共同研究や、マレーシア国民大学(UKM)との臨床試験を行っている。